人と繋がるのにオフラインもオンラインも関係ない。「むきだしの自分と向きあうことで初めて人と社会と繋がれる」 -アートクラス講師上原紗英さん

2021/1/25

人と繋がるのにオフラインもオンラインも関係ない。「むきだし」の自分と向きあうことで、初めて人と社会と繋がれる。

コロナが流行し、人と自由に会うことが難しくなった今
「人と繋がること」が重要なキーワードになってきています。
だけど、人と直接って話すことができないから
そんな関係性も作れないと感じている人もいる。

だけど、今回インタビューに応えてくれたぽすさんこと上原紗英さんは
「オンラインオフライン関係なく人は繋がれる」といいます。

目に見えるつながりが見えにくくなった今、
「表現」という軸から人に向き合い続けてきたぽすさん。
そんな彼女が思う「誰かと繋がる」ための方法とは?

人と繋がることにオンラインもオフラインも関係ない 

―上原さん(以下ぽすさん)今日はよろしくお願いします!最初に自己紹介をお願いします。

 ぽすこと上原紗英と申します。小さいころからバレエやピアノに触れていて、「表現」がいつも近くにある生活を送っていました。大学時代はミュージカルサークルに所属して、ミュージカル演出・出演に没頭していました。大学卒業後はNPO法人コモンビートのスタッフとして、コモンビートの中心事業である100日間で100人とミュージカルを作るという事業の演出をメインにしていました。ですが、2020年のコロナ流行に伴いミュージカルの上演を休止しているので、今は新しく立ち上げた「Cplus(シープラス)」をはじめとした、表現プログラム事業の事業部長として、プログラム開発や運営などを行なっています。

―100人が100日間でミュージカルを作る…。すごくハードそうですがすごく面白そうですね!ミュージカルの参加者って、やっぱり前から表現がうまい人とか慣れている人が集まったりされるんですか?

 いや、本当にそんなことは全然ないですね。むしろ、ダンス経験者や歌が上手い人は少ないと思います。分かりやすい例でいくと、ミュージカルの中には歌もあるし、ダンスシーンも結構あります。そのダンスシーンに右足と右手が一緒に出ちゃうようなダンス未経験者の人や、60代のおじいちゃんが参加したりします。さらに、自分のことを話したり、自分のことを上手く表現できなかったりする人も結構いますね。ちなみに、コモンビートに入った時の私はただ踊ったり歌ったりしたくて参加していたんですけど、今は人の表現をもっと見たいなと思ってます。

 

―なるほど。多くの人は「表現」ときくと舞台芸術といったものを思い浮かべると思うのですが、ぽすさんが今使っている「表現」とは少しニュアンスが違うように感じます。ぽすさんは今「表現」をどうとらえているのですか?

 多くの人が「表現」という言葉を聞くと、「表現=完成されたもの」というイメージを持っているなと感じています。だから、私がコモンビートでミュージカルをやっていたり、表現プログラムをやっていて、定番の断り文句は「自分なんかにはできないから」「表現できる自信がないから」なんです。

だけど、そもそも表現って自分の内側にあるものを外に出す行為であって、表現は専門性や特殊なスキルを持った人が行う行為ではないと思っています。例えば、会社のプレゼン発表だってそうだし、友達に自分の好きなものを伝えることだって立派な表現の一つ。だから、表現は誰でもできることだよという意味も込めて、今は表現プログラムを運営しています。

 

―コモンビートはコロナ流行に伴って、「Cplus」というオンラインの表現プログラムをスタートしましたよね。これでコモンビートに関わる参加者の方に変化はありましたか?

 変化というと参加する動機は少し変わりましたね。ミュージカルの場合だと、「ミュージカルに一回参加してみたくて」とか「一回舞台に立ってみたかったんです」といったミュージカルとか舞台への憧れを動機にしている人が多かったんですね。だけど、Cplusはすべてが家で完結してしまうプログラムなので、「人と話したい」とか「自分を見つめなおしたい」といった動機の方が多いですね。

 

―なるほど。Cplusはミュージカルの時には見えなかった参加者の内側をより掘り下げていくプログラムになっている感じですか?

 まさにその通りですね。ミュージカルの場合は「A COMMON BEAT」という作品の枠組みがあって、歌やダンスの構成もある程度決まっているんです。だけど、今やっている「Cplus」っていう表現プログラムは作品のテーマはありますが、どういう作品にするかは決まってなくて0から作っていくことになります。だから、ミュージカルの時よりもより参加者の人が感じていることを拾い上げる問いかけや、それをどう作品につなげるのかっていう問いかけはミュージカルの時よりも多いと思います。

 

―なるほど。参加者の変化も感じていますか?

 めちゃくちゃわかりますね。最初は会社の会議の時みたいに、すごく画面から距離をとって参加している方が多いんです。だけど、作品作りの中で、みんなと密にコミュニケーションをとりながら没頭していくので、どんどん気持ちが前のめりになっていって。結果、自然と画面と近くなっていく人とかよくいます。

 

―Cplusを運営してく中で、ぽすさん自身の変化はありましたか?

コモンビートに関わり始めた時、私はただ歌って踊りたいという気持ちだったんです。だけど、だんだん自分の興味が作品作りというよりも、ミュージカルに関わる人づくりの方に移っていっていて。私はミュージカルでは演出を担当していて、メインは参加者の人が舞台で表現できるようにサポートすることだったので、ミュージカル運営での自分の役割になんとなく限界も感じていました。今は表現プログラムを通して、その人の変化や自分のことを気づくきっかけになるようなことはできていると感じています。だから、ミュージカルの時に比べて、自分のやりたかったことができている感覚もありますね。

 

―最近、コロナの影響でオンラインを通して人と話すことが増えている中、「オンラインで人と繋がるのは難しい」ということもよく聞きます。オンラインで表現プログラムをやっていて、人と繋がることに制約を感じたりはしていますか?

 うーん。オンラインでもオフラインでもメリットがあれば、デメリットもあると思います。でも、ここまでプログラムをやってきて、オンラインでも人って繋がれるんだなとは思っています。画面上だと素の自分と作っている自分どちらも少なからずあると思うし、お互いのことを全部知ることはできません。だけど、それ全部ひっくるめて、みんなお互いのことを知りたいと思えているので、オンラインでもちゃんと人と繋がれているなと感じています。

あと、画面上でどうしてもわかんないのが身長とか画面の外にある情報なんですよね。だから、その部分はアクティビティにしてみんなで遊んでいます。例えば、参加者の中の数人にスポットライトをあてて、この中で身長高い順に並べてみましょう!といったクイズをしたり。オンラインだからできないではなくて、出来ないことをどう面白くできるのかを考えることはいつも意識しています。

 

―なるほど。オンラインで出来ないことを遊びに転換させる。発想の転換で人との距離を縮めているのはすごく面白いです。

「地方」で表現するからこそ生まれる可能性

―今回コモンビートでの初の試みとして、Change Makers’ Collegeでアートクラスを実施しましたよね。このお話を聞いたとき、どう思われましたか?

 

 正式に話を持ち掛けられる前にCMCのファシリテーターに散々口説かれた後だったので、そうですよね…って感じでした(笑)。でも、今回はミュージカルの時みたいなテンプレートもなく、その土地と出会った人で作品を作っていくことは本当に楽しいだろうなとは思っていましたし、私の大学の時の研究テーマが「地域活性化において表現活動がどういう役割を果たすのか」だったので、自分のやりたかったことができるかもしれないというワクワク感もありました。

 

―最初アートクラス参加者のみんなにあった時の印象はどうでしたか?

 

  若いな…って思いました(笑)。私がコモンビートで関わっていた人はだいたい30代以上の方が多かったので、CMCの参加者は本当に若くて元気だな…という印象でしたね(笑)。

  あとは、みんな歌うこととか曲を聞いたりすること自体はすごく好きだけど、自分の内面をさらけ出して表現することに対しては、抵抗感あるんだなと。作品作りの前にやった演劇ワークとかはみんな抵抗感なくやっていたので、表現すること自体はあまり抵抗感ないなと思ってたけど、いざ作品作りの中で自分自身のことを表現してみるってなった時、みんなの中ですごく抵抗感を感じましたね。

 

―今回は3週間で0から作品作りをしましたよね。最後に発表会で参加者の姿を見て、率直にどう思いましたか?

 

 よくこの短期間でここまで発表できるものになったなと思いました。表現って自分に矢印を向けなくなった瞬間に、一気にハードルが下がるものなんです。だけど、みんなは自分を表現するというところで、自分に矢印を向け続けるっていうすごく厳しいことに向き合ってくれて。最後は観客の前で自分自身を表現することを臆さずやってくれたので、自分が広田町でやりたかったことはみんなが体現してくれたなと思います。あとはクラスのアシスタントをしてくれたきほちゃんが最高に楽しそうでしたね(笑)。

*CMC4期卒業生で現在コモンビートのファシリテーターとして活躍しているきほ(左)

 

―コロナになってから、1から作品を作るということをオンラインでもオフラインでも経験されたと思います。その中で、CMCで実施したからこそ見えた価値とかはありましたか?

 

 アートクラスをしてみて、広田町は表現をするうえでうってつけの場所だなと思います。広田町の季節全部を経験したわけではないけど、海があって山があって、いろんな音に触れ合えて、本当に感性が鋭くなる町だと思いました。それをただインプットするだけではなくて、コモンビートがやっている「表現」という側面から、みんなの感性を引き出すお手伝いができるのは本当に面白いことだなと思いました。あと、アートクラスのような表現活動を地方でやることって地域創生にとってもすごく重要な役割があると思ったし、地方×表現ってすごく価値を生みそうだなと思ったのがやってみて感じたことです。

 

自分を100%表現して初めて、「むきだし」の自分と出会い、自分と社会とつなぐことが出来る

 

 

―ぽすさん個人としては、今回CMCに関わってみたことで感じた気づきや変化はありますか?

 

 広田町に滞在中している時シェアハウスに住んでいたんですが、私もともと人があまり好きではなかったので、誰かと一緒に住みたくなかったんです(笑)。でも、一緒に暮らしてみてすごく楽しかったし、一緒に暮らしたメンバーがとても好きになったのは大きな変化でしたね。

 

―確かに。CMCってシェアハウスをしながら学ぶっていうすごく特殊な環境ですよね。

 

そういう意味では、CMCの本当の価値は外から見えるカリキュラムとか、何かを学べるというよりも、広田町で誰かと共に暮らすという場所と経験そのものが本当に価値のあるものだなと思います。

誰かと住むことって誰かを知ることなんですよね。もちろんコモンビートも作品作りを通して、お互いのことを知っていくプロセスはあります。だけど、一緒に生活しているわけではないから練習以外の姿は見えなくて、その人の「むきだし」の状態ってなかなか見られない。だけど、CMCだったら生活を通してその人の何も飾らない「むきだし」の状態が見える。やっぱり生活ってその人の人生そのものだから、その人の価値観が出てきて、お互いにぶつかることもある。だけど、そうやってお互いに受け入れながら一緒に住むっていう経験ができる。私は常にだれかの感情や選択に寄り添ったり、見ている人は本当に心が豊かになると思っているので、CMCの共に暮らすっていう経験は本当に価値のあることだなと思います。

 

*ぽすさん自身も卒業生と同じシェアハウスに滞在してもらった。

―すごく素敵ですね。最後に、ぽすさんがこれからやってみたいことはありますか?

 今普通に生活していると、自分のことを自由に表現してもいいんだよっていう場所は本当に少ないと思うんです。例えば、仕事をしていると組織の中で求められる立場とか役割があって、それを全うしないといけないし。だけど、普段の生活の中である程度の制約がある中でも、自分を表現していくっていうことが自分の人生をとっても豊かにしてくれると思うんです。

だけど、最初から自分のことを少し表現するって結構難しいんですよね。それよりは、一回自分のことを思いっきり表現してみて、その後に自分の今の生活を考えて「今はこれくらいならできるかな」と自分の表現を調整していくことの方が比較的簡単にできると思うんです。だったら、今は安心安全な場所で自分と向き合って、失敗してもいいから、自分の好きなことを100%表現できるような場所を作っていきたいです。どこかにこういう場所があれば、社会とうまくつながりながら、自分もうまく表現していける豊かな人がどんどん生まれてくると思います。だから、そういった場所をこれからも作り続けていきたいですね。(完)

 

本番前にみんなで気持ちを一つにするみんな。

 

ぽすさん、本当に素晴らしい学びの機会をありがとうございました!

 

※アートクラス始め、Change Makers’ Collegeは感染症対策を徹底した上で実施しています。

※アートクラスは2020年11月に実施されました。

 

記事制作・編集 CMC5期参加者 外村祐理子

 

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人と繋がるのにオフラインもオンラインも関係ない。「むきだしの自分と向きあうことで初めて人と社会と繋がれる」 -アートクラス講師上原紗英さん

2021/1/25

人と繋がるのにオフラインもオンラインも関係ない。「むきだし」の自分と向きあうことで、初めて人と社会と繋がれる。

コロナが流行し、人と自由に会うことが難しくなった今
「人と繋がること」が重要なキーワードになってきています。
だけど、人と直接って話すことができないから
そんな関係性も作れないと感じている人もいる。

だけど、今回インタビューに応えてくれたぽすさんこと上原紗英さんは
「オンラインオフライン関係なく人は繋がれる」といいます。

目に見えるつながりが見えにくくなった今、
「表現」という軸から人に向き合い続けてきたぽすさん。
そんな彼女が思う「誰かと繋がる」ための方法とは?

人と繋がることにオンラインもオフラインも関係ない 

―上原さん(以下ぽすさん)今日はよろしくお願いします!最初に自己紹介をお願いします。

 ぽすこと上原紗英と申します。小さいころからバレエやピアノに触れていて、「表現」がいつも近くにある生活を送っていました。大学時代はミュージカルサークルに所属して、ミュージカル演出・出演に没頭していました。大学卒業後はNPO法人コモンビートのスタッフとして、コモンビートの中心事業である100日間で100人とミュージカルを作るという事業の演出をメインにしていました。ですが、2020年のコロナ流行に伴いミュージカルの上演を休止しているので、今は新しく立ち上げた「Cplus(シープラス)」をはじめとした、表現プログラム事業の事業部長として、プログラム開発や運営などを行なっています。

―100人が100日間でミュージカルを作る…。すごくハードそうですがすごく面白そうですね!ミュージカルの参加者って、やっぱり前から表現がうまい人とか慣れている人が集まったりされるんですか?

 いや、本当にそんなことは全然ないですね。むしろ、ダンス経験者や歌が上手い人は少ないと思います。分かりやすい例でいくと、ミュージカルの中には歌もあるし、ダンスシーンも結構あります。そのダンスシーンに右足と右手が一緒に出ちゃうようなダンス未経験者の人や、60代のおじいちゃんが参加したりします。さらに、自分のことを話したり、自分のことを上手く表現できなかったりする人も結構いますね。ちなみに、コモンビートに入った時の私はただ踊ったり歌ったりしたくて参加していたんですけど、今は人の表現をもっと見たいなと思ってます。

 

―なるほど。多くの人は「表現」ときくと舞台芸術といったものを思い浮かべると思うのですが、ぽすさんが今使っている「表現」とは少しニュアンスが違うように感じます。ぽすさんは今「表現」をどうとらえているのですか?

 多くの人が「表現」という言葉を聞くと、「表現=完成されたもの」というイメージを持っているなと感じています。だから、私がコモンビートでミュージカルをやっていたり、表現プログラムをやっていて、定番の断り文句は「自分なんかにはできないから」「表現できる自信がないから」なんです。

だけど、そもそも表現って自分の内側にあるものを外に出す行為であって、表現は専門性や特殊なスキルを持った人が行う行為ではないと思っています。例えば、会社のプレゼン発表だってそうだし、友達に自分の好きなものを伝えることだって立派な表現の一つ。だから、表現は誰でもできることだよという意味も込めて、今は表現プログラムを運営しています。

 

―コモンビートはコロナ流行に伴って、「Cplus」というオンラインの表現プログラムをスタートしましたよね。これでコモンビートに関わる参加者の方に変化はありましたか?

 変化というと参加する動機は少し変わりましたね。ミュージカルの場合だと、「ミュージカルに一回参加してみたくて」とか「一回舞台に立ってみたかったんです」といったミュージカルとか舞台への憧れを動機にしている人が多かったんですね。だけど、Cplusはすべてが家で完結してしまうプログラムなので、「人と話したい」とか「自分を見つめなおしたい」といった動機の方が多いですね。

 

―なるほど。Cplusはミュージカルの時には見えなかった参加者の内側をより掘り下げていくプログラムになっている感じですか?

 まさにその通りですね。ミュージカルの場合は「A COMMON BEAT」という作品の枠組みがあって、歌やダンスの構成もある程度決まっているんです。だけど、今やっている「Cplus」っていう表現プログラムは作品のテーマはありますが、どういう作品にするかは決まってなくて0から作っていくことになります。だから、ミュージカルの時よりもより参加者の人が感じていることを拾い上げる問いかけや、それをどう作品につなげるのかっていう問いかけはミュージカルの時よりも多いと思います。

 

―なるほど。参加者の変化も感じていますか?

 めちゃくちゃわかりますね。最初は会社の会議の時みたいに、すごく画面から距離をとって参加している方が多いんです。だけど、作品作りの中で、みんなと密にコミュニケーションをとりながら没頭していくので、どんどん気持ちが前のめりになっていって。結果、自然と画面と近くなっていく人とかよくいます。

 

―Cplusを運営してく中で、ぽすさん自身の変化はありましたか?

コモンビートに関わり始めた時、私はただ歌って踊りたいという気持ちだったんです。だけど、だんだん自分の興味が作品作りというよりも、ミュージカルに関わる人づくりの方に移っていっていて。私はミュージカルでは演出を担当していて、メインは参加者の人が舞台で表現できるようにサポートすることだったので、ミュージカル運営での自分の役割になんとなく限界も感じていました。今は表現プログラムを通して、その人の変化や自分のことを気づくきっかけになるようなことはできていると感じています。だから、ミュージカルの時に比べて、自分のやりたかったことができている感覚もありますね。

 

―最近、コロナの影響でオンラインを通して人と話すことが増えている中、「オンラインで人と繋がるのは難しい」ということもよく聞きます。オンラインで表現プログラムをやっていて、人と繋がることに制約を感じたりはしていますか?

 うーん。オンラインでもオフラインでもメリットがあれば、デメリットもあると思います。でも、ここまでプログラムをやってきて、オンラインでも人って繋がれるんだなとは思っています。画面上だと素の自分と作っている自分どちらも少なからずあると思うし、お互いのことを全部知ることはできません。だけど、それ全部ひっくるめて、みんなお互いのことを知りたいと思えているので、オンラインでもちゃんと人と繋がれているなと感じています。

あと、画面上でどうしてもわかんないのが身長とか画面の外にある情報なんですよね。だから、その部分はアクティビティにしてみんなで遊んでいます。例えば、参加者の中の数人にスポットライトをあてて、この中で身長高い順に並べてみましょう!といったクイズをしたり。オンラインだからできないではなくて、出来ないことをどう面白くできるのかを考えることはいつも意識しています。

 

―なるほど。オンラインで出来ないことを遊びに転換させる。発想の転換で人との距離を縮めているのはすごく面白いです。

「地方」で表現するからこそ生まれる可能性

―今回コモンビートでの初の試みとして、Change Makers’ Collegeでアートクラスを実施しましたよね。このお話を聞いたとき、どう思われましたか?

 

 正式に話を持ち掛けられる前にCMCのファシリテーターに散々口説かれた後だったので、そうですよね…って感じでした(笑)。でも、今回はミュージカルの時みたいなテンプレートもなく、その土地と出会った人で作品を作っていくことは本当に楽しいだろうなとは思っていましたし、私の大学の時の研究テーマが「地域活性化において表現活動がどういう役割を果たすのか」だったので、自分のやりたかったことができるかもしれないというワクワク感もありました。

 

―最初アートクラス参加者のみんなにあった時の印象はどうでしたか?

 

  若いな…って思いました(笑)。私がコモンビートで関わっていた人はだいたい30代以上の方が多かったので、CMCの参加者は本当に若くて元気だな…という印象でしたね(笑)。

  あとは、みんな歌うこととか曲を聞いたりすること自体はすごく好きだけど、自分の内面をさらけ出して表現することに対しては、抵抗感あるんだなと。作品作りの前にやった演劇ワークとかはみんな抵抗感なくやっていたので、表現すること自体はあまり抵抗感ないなと思ってたけど、いざ作品作りの中で自分自身のことを表現してみるってなった時、みんなの中ですごく抵抗感を感じましたね。

 

―今回は3週間で0から作品作りをしましたよね。最後に発表会で参加者の姿を見て、率直にどう思いましたか?

 

 よくこの短期間でここまで発表できるものになったなと思いました。表現って自分に矢印を向けなくなった瞬間に、一気にハードルが下がるものなんです。だけど、みんなは自分を表現するというところで、自分に矢印を向け続けるっていうすごく厳しいことに向き合ってくれて。最後は観客の前で自分自身を表現することを臆さずやってくれたので、自分が広田町でやりたかったことはみんなが体現してくれたなと思います。あとはクラスのアシスタントをしてくれたきほちゃんが最高に楽しそうでしたね(笑)。

*CMC4期卒業生で現在コモンビートのファシリテーターとして活躍しているきほ(左)

 

―コロナになってから、1から作品を作るということをオンラインでもオフラインでも経験されたと思います。その中で、CMCで実施したからこそ見えた価値とかはありましたか?

 

 アートクラスをしてみて、広田町は表現をするうえでうってつけの場所だなと思います。広田町の季節全部を経験したわけではないけど、海があって山があって、いろんな音に触れ合えて、本当に感性が鋭くなる町だと思いました。それをただインプットするだけではなくて、コモンビートがやっている「表現」という側面から、みんなの感性を引き出すお手伝いができるのは本当に面白いことだなと思いました。あと、アートクラスのような表現活動を地方でやることって地域創生にとってもすごく重要な役割があると思ったし、地方×表現ってすごく価値を生みそうだなと思ったのがやってみて感じたことです。

 

自分を100%表現して初めて、「むきだし」の自分と出会い、自分と社会とつなぐことが出来る

 

 

―ぽすさん個人としては、今回CMCに関わってみたことで感じた気づきや変化はありますか?

 

 広田町に滞在中している時シェアハウスに住んでいたんですが、私もともと人があまり好きではなかったので、誰かと一緒に住みたくなかったんです(笑)。でも、一緒に暮らしてみてすごく楽しかったし、一緒に暮らしたメンバーがとても好きになったのは大きな変化でしたね。

 

―確かに。CMCってシェアハウスをしながら学ぶっていうすごく特殊な環境ですよね。

 

そういう意味では、CMCの本当の価値は外から見えるカリキュラムとか、何かを学べるというよりも、広田町で誰かと共に暮らすという場所と経験そのものが本当に価値のあるものだなと思います。

誰かと住むことって誰かを知ることなんですよね。もちろんコモンビートも作品作りを通して、お互いのことを知っていくプロセスはあります。だけど、一緒に生活しているわけではないから練習以外の姿は見えなくて、その人の「むきだし」の状態ってなかなか見られない。だけど、CMCだったら生活を通してその人の何も飾らない「むきだし」の状態が見える。やっぱり生活ってその人の人生そのものだから、その人の価値観が出てきて、お互いにぶつかることもある。だけど、そうやってお互いに受け入れながら一緒に住むっていう経験ができる。私は常にだれかの感情や選択に寄り添ったり、見ている人は本当に心が豊かになると思っているので、CMCの共に暮らすっていう経験は本当に価値のあることだなと思います。

 

*ぽすさん自身も卒業生と同じシェアハウスに滞在してもらった。

―すごく素敵ですね。最後に、ぽすさんがこれからやってみたいことはありますか?

 今普通に生活していると、自分のことを自由に表現してもいいんだよっていう場所は本当に少ないと思うんです。例えば、仕事をしていると組織の中で求められる立場とか役割があって、それを全うしないといけないし。だけど、普段の生活の中である程度の制約がある中でも、自分を表現していくっていうことが自分の人生をとっても豊かにしてくれると思うんです。

だけど、最初から自分のことを少し表現するって結構難しいんですよね。それよりは、一回自分のことを思いっきり表現してみて、その後に自分の今の生活を考えて「今はこれくらいならできるかな」と自分の表現を調整していくことの方が比較的簡単にできると思うんです。だったら、今は安心安全な場所で自分と向き合って、失敗してもいいから、自分の好きなことを100%表現できるような場所を作っていきたいです。どこかにこういう場所があれば、社会とうまくつながりながら、自分もうまく表現していける豊かな人がどんどん生まれてくると思います。だから、そういった場所をこれからも作り続けていきたいですね。(完)

 

本番前にみんなで気持ちを一つにするみんな。

 

ぽすさん、本当に素晴らしい学びの機会をありがとうございました!

 

※アートクラス始め、Change Makers’ Collegeは感染症対策を徹底した上で実施しています。

※アートクラスは2020年11月に実施されました。

 

記事制作・編集 CMC5期参加者 外村祐理子

 

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